人権の尊重

基本的な考え方

JR九州グループは、人権尊重の取り組みを推進し、その責務を果たすための指針として、「JR九州グループ人権基本方針」を定めています。JR九州グループ人権基本方針は、人権に関する最上位の方針として、JR九州グループすべての事業活動における基盤となるものです。JR九州グループは、人権基本方針に従い、人権尊重に取り組むことで、持続可能な社会の構築に貢献します。

基本方針

JR九州グループは、「あるべき姿」である「安全とサービスを基盤として九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループ」の実現に向けて、誠実かつ公正で透明性のある事業活動を行い、持続可能な社会の構築に貢献します。
 事業を行う過程で、人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、事業運営に関わるすべての人々の人権の尊重を表明するため、「JR九州グループ人権基本方針」(以下、「本方針」という)を定めます。

  1. 基本的な考え方
    JR九州グループは、人権に関する国内法に加え、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」※1を基本として、「国際人権章典」※2、国際労働機関「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」※3等の人権に関する国際規範を支持、尊重します。

  2. 適用範囲
    本方針は、JR九州グループすべての役員及び従業員※4に適用します。また、取引先等に対しても、本方針への理解と支持を求め、ともに人権の尊重を推進します。

  3. 人権の尊重
    個人の多様な価値観・個性・プライバシーを尊重し、人種、民族、宗教、国籍、社会的身分、性別、年齢、障がいの有無、性的指向と性自認等の違いによる差別なく、人権を尊重します。

  4. 人権を尊重する取り組みの推進
    • 人権デュー・ディリジェンス
      JR九州グループは、人権を尊重する責任を果たすために、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを通じて、人権への負の影響を特定し、その防止、または軽減に取り組みます。

    • 是正と救済
      JR九州グループは、人権に対する負の影響を直接的、間接的に引き起こした場合は、適切な手続きを通じて、是正及び救済に取り組みます。

    • ステークホルダーとの対話と協議
      JR九州グループは、関連するステークホルダーと誠実に対話と協議を行うことにより、人権尊重の取り組みの向上と改善に努めます。

    • 教育と研修
      JR九州グループは、本方針が理解され、あらゆる人々の人権が尊重されるよう、役員及び従業員に対して、人権問題に関する正しい知識・認識が根付く教育と研修を実施します。

    • 情報開示
      JR九州グループは、本方針に基づく人権尊重の取り組み状況について、Webサイト等を通じて、適切に情報開示を行います。

本方針は、2022年1月24日開催の人権啓発推進委員会において承認され、2022年3月1日開催の取締役会にて報告されています。


  1. ※1 「ビジネスと人権に関する指導原則」は、2011年に国連の人権理事会にて、全会一致で支持された文書で、企業を含む第三者による人権侵害か
      ら保護する国家の義務、自社のみならず取引先等も含めて人権を尊重する企業の責任、人権侵害からの救済手段に実効的にアクセスできる必
      要性を柱とした国際的な基準となっています。
  2. ※2 「国際人権章典」は、「世界人権宣言」、及びこれを条約化した「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約」、「市民、政治的権利に関
      する国際規約」の3つの文書の総称です。世界人権宣言は、すべての人間が生まれながらにして持っている人権を、初めて普遍的な基準
      として宣言したものであり、あらゆる人と国が達成すべき共通の基準です。
  3. ※3 「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」では、「結社の自由及び団体交渉権」「強制労働の禁止」「児童労働の実効的な廃止」
     「雇用及び職業における差別の排除」を、労働において最低限守られるべき基準として定めています。
  4. ※4 JR九州グループすべての役員及び従業員とは、JR九州グループの取締役、監査役、執行役員及びJR九州グループ各社との雇用契約に基づ
     きその職務に従事している者並びにその他派遣社員、受入出向者等をいいます。


2022年4月1日


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JR九州グループ人権推進体制
「JR九州グループ人権基本方針」の取り組みを推進するために、JR九州グループでは、「JR九州グループ人権推進委員会」を設置しています。

人権推進委員会
人権デュー・ディリジェンスの取り組み
JR九州グループでは、「JR九州グループ人権基本方針」に基づいて、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを推進していきます。人権デュー・ディリジェンスは、(1)人権リスクの特定、(2)予防・軽減策の実施、(3)取り組み効果の追跡調査、(4)情報開示の4つのステップを継続して行っていくことですが、それぞれ、以下の取り組みを定期的に実施しています。
  1. 人権リスクの特定
    JR九州グループへの人権リスクに関するアンケートや社会情勢等を勘案し、人権リスクを特定しています。

  2. 【人権リスク】
    • ハラスメントの発生
      (パワーハラスメント・セクシャルハラスメント・マタニティハラスメント等)
    • 長時間労働の発生
    • プライバシーの権利
    • 男女平等への理解
    • 理解・配慮不足による差別の助長(同和問題・LGBTQ・障がい者・外国人との文化の違い)
    • 安全の確保
    • 従業員に対する相談窓口の認知
    • 外国人技能実習制度の不正運用

  3. 予防・軽減策の実施
    • eラーニングや階層別等における人権推進研修の実施
      ①eラーニングによる人権推進研修の実施
      【過去のeラーニング内容】
      年度内容
      2018差別解消三法について
      2019同和問題について
      2020セクシャリティについて
      2021インターネット上での人権侵害について


      ②社外講師による人権推進研修の実施
      人権問題に対する正しい知識・理解の醸成を図るため、職場の管理者を対象に、社外講師を招き、時代に即した人権問題についての研修を実施しています。
      人権啓発研修
      社外講師による人権啓発研修

      ③ハラスメント研修の実施
      ハラスメントを防止するため、顧問弁護士を講師としたハラスメント研修を定期的に実施しています。研修では、具体的事例を用いたハラスメント事案への対処方法など、ハラスメントを起こさない職場づくりについて学んでいます。
      ハラスメント研修
      ハラスメント研修

    • 人権推進ハンドブックや社内報等による情報発信
    • 社員やお客さま等の「声」を活用した取り組み
    •   安全に関する社員の声による改善事例
        お客さまの声による改善事例

  4. 取り組み効果の追跡調査
    • アンケート調査の実施
    •  ・eラーニングや研修終了後には習熟状況を把握するため、アンケート等を実施
       ・鉄道資材を取引している主要取引先へのアンケート
    • ヒアリング等の実施
    •  ・長時間労働防止に向けた超勤モニタリング
       ・外国人技能実習生を雇用しているグループ会社へのヒアリング

  5. 情報開示
  6.   ・ 人権に関する取り組み等を定期的にホームページ等で情報開示
人権を含む通報窓口
 JR九州グループでは、人権問題等を相談するための通報窓口を設置しています。匿名による通報でも受け付けており、通報者の氏名等の秘密は厳守されます。通報内容については、十分な事実確認を行った上で、問題があったと判断した場合には、救済措置を講じています。通報窓口は、以下のとおりです。

【JR九州グループの従業員及びお取引先の皆さま】 JR九州グループ企業倫理ホットライン
【お客さま、地域の皆さま】 お客さま相談センター
その他人権推進に関する取り組み
  1. 福岡市企業同和問題推進協議会」事務局会社としての活動
    福岡市内の企業を中心として設立した「福岡市企業同和問題推進協議会」の事務局会社として、会員企業と共に、各種研修の運営及び街頭啓発活動等、地域社会の人権・同和問題解決に向けて取り組んでいます。

  2. 労働基準の枠組みに関するワークショップへの参加
    障がい者雇用推進・定着に向けたよりよい環境づくりを目的に、会社の垣根を越えた情報交換・事例共有をおこなう企業勉強会・交流会である「障がい者雇用推進企業ネットワーク(SKCネットワーク)」に参加しています。
    また、「九州経済連合会」におけるダイバーシティに関する取り組みを推進する「幸せコミュニティ委員会」に参加しています。

  3. JR九州では、従業員の団体交渉権を尊重します。
    2021年度は、2022年1月末現在で団体交渉を96回開催しました。

  4. 最低賃金の保証
    JR九州グループでは、最低賃金の定めを遵守します。法に基づく最低賃金は毎年改定されますが、法定最低賃金を遵守するだけでなく、それを上回る賃金を従業員に支払うなど法令順守の上、労務管理を行っています。

  5. 子どもの権利に対する取り組み
    JR九州グループは、児童の持つ①生きる権利、②守られる権利、③育つ権利、④参加する権利を尊重します。また、
    JR九州グループでは、事業運営を通じて、子どもの人権の尊重を支援するさまざまな取り組みを行っています。
  6. 安全講習会

    幼稚園や小学校等において、踏切安全講習会を実施するなど踏切事故防止の啓発活動に取り組んでいます。また、JR九州では、毎年「2月3日」を「踏切の日」と定め、踏切事故防止の啓発活動に取り組んでいます。「踏切の日」には、博多駅前広場(小屋根スペース)において、踏切事故防止の講習をはじめとしたイベントを開催しています。

    安全講習会
    VIVISTOP HAKATA

    JR博多シティ10階にあるVIVISTOP HAKATAは子どもの創造活動とイノベーションを支援する施設です。 VIVISTOPとは、日本各地や世界各地にも拠点を拡げるクリエイティブな学びの環境です。 3Dプリンタやレーザーカッターなど、最先端のクリエイティブツールを活用し、子どもたちによるアイデアの実現をサポートしています。

    VIVISTOP HAKATA

    FUKUOKAみらいプロジェクト(職場体験)

    福岡県下の企業等で、保護者の働く姿を通して子どもに社会体験の機会をつくり、保護者へ尊敬及び感謝の気持ちを醸成することを目的に開催される「FUKUOKAみらいプロジェクト」に、JR九州グループ会社も含め毎年参加しています。

    みらいプロジェクト

  7. 現地の人材の雇用
    JR九州では、タイに駐在員事務所を設置し、現地スタッフを雇用しています。また、JR九州グループでは、タイにおいて、サービスアパートメント事業及びホテル事業を行っており、運営会社と協力して現地従業員の採用・教育を行うことで、円滑な事業運営と現地の文化・商慣習に精通した人材の育成に努めています。また、施設毎に就業規則を策定しており、タイ法に則った労働環境づくりを行っています。

  8. ○タイ事業における現地雇用の従業員数
    区分従業員数
    バンコク事務所2人
    Shama Lakeview Asoke Bangkok74人
    Aloft Bangkok Sukhumvit 11131人
    207人
    ※2021年12月31日時点
    タイ現地雇用