自由時間手帖

JR九州

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本当にいた砂かけばばあ

稲垣えみ子

稲垣えみ子

1965年、愛知県生まれ。87年朝日新聞社入社。大阪社会部、週刊朝日編集部、論説委員などを経て、編集委員として「ザ・コラム」を担当。そこで綴った原発事故を契機とした超節電生活とアフロヘアで話題に。一昨年一月に早期退職し、定職につかず自由に楽しく閉じていく人生を模索中。著書に「魂の退社」「寂しい生活」(いずれも東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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砂むし温泉

砂むし温泉

砂むし温泉は鹿児島県 指宿の名物風呂。天然の海岸をそのまま砂むし場に利用。
温かい砂に包まれると、全身から汗が噴き出し気分爽快!
砂の程よい重さも心地よく、疲れた身体をほぐしてくれる。

「おばちゃんはうんと頷いて、いきなり手にした大きなスコップで近くの砂をすくい上げでドサドサと容赦なく私の上に大量の砂をかけ始めるではないか。まさしく墓に埋められる土左衛門である。
あっという間に首だけを残して、私の体は完全に砂の下に埋まった。」

稲垣えみ子『本当にいた砂かけばばあ』(2018)

宮ケ浜駅

宮ケ浜駅

沖縄を除けば、日本で一番南を走る指宿枕崎線。車窓から見える鹿児島湾と
ソテツの木々は、南国情緒を掻き立てる。
かつては線路のすぐ向こうが海だったが、今でも海辺の公園越しに鹿児島湾と対岸の大隅半島を望むことができる。

「ホームへ行った私は意外なものを見た。
ホームのすぐ向こうが海なのである。海が近いとかそういうレベルじゃなくて、浜の中にホームが立っている感じ。見方によっては「絶景」と言えないこともない。来た時は待ち合わせに遅れまいと焦っていたのでちゃんと見ていなかったのだ。
ホームの看板を見ると、駅名の下に「日本で一番海に近い駅」とあった。」

稲垣えみ子『本当にいた砂かけばばあ』(2018)

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