自由時間手帖

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私の、北九州周辺のこと

牧野伊三夫

牧野伊三夫

1964年北九州市生まれ。画家。1987年多摩美術大学卒業後、広告制作会社サン・アドに就職。1992年、退社後、名曲喫茶でんえん(国分寺)、月光荘画材店(銀座)、HBギャラリー(原宿)等での個展を中心に画家としての活動を始める。1999年、美術同人誌『四月と十月』を創刊。第2回アトリエヌーボーコンペ日比野賞。2012、2013、2017年東京ADC賞。著書に『僕は、太陽をのむ』『仕事場訪問』(港の人)、『かぼちゃを塩で煮る』(幻冬舎)、21018年12月に、これまでの旅の連載をまとめたエッセイ集「画家のむだ歩き」(中央公論新社)を刊行予定。『雲のうえ』(北九州市)、『飛騨』(飛騨産業)編集委員。東京都在住。

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門司港駅

門司港駅

福岡県北部の関門海峡に面した港町。明治初期に開港して、120年。
明治から昭和初期にかけて建築された趣のある建物が今でも残り、「門司港レトロ」として九州の人気観光地の一つとなっている。

「関門海峡といえば門司港駅である。この駅はかつて九州鉄道の起点であった。当時の面影を残す古い駅舎は、この街のシンボルになっていて、すぐ傍らには九州鉄道記念館がある。駅舎の改札を出ると関門海峡のすぐ目の前で、対岸には下関の街が見える。 」

牧野伊三夫『私の、北九州周辺のこと』(2018)

旦過市場

旦過市場

大正時代から北九州市民の食を支えてきた市場。
昭和30年代築の長屋式商店は、裸電球の光に照らされ、昔風情たっぷり。
そんな空間に、鮮魚店や青果店、惣菜店など、およそ120の店舗が肩を寄せ合う。

「小倉にある旦過市場は、戦後の雰囲気を残す現役の生活市場で、ここには豊前海で獲れる魚を専門に売る魚屋がある。なにしろ、この市場で売られる魚介は豊富で、近海の魚はもとより、川魚や鯨肉の専門店もある。合馬産のタケノコや、地野菜の大葉春菊なども、ここへ行けば売っている。春に出る、甘く小さな若松の「水切りトマト」などは、あっという間に売り切れてしまう。」

牧野伊三夫『私の、北九州周辺のこと』(2018)

鳥町食堂街

鳥町食堂街

昭和20年頃から変わらぬ姿で営業する食道街。
小倉駅前、魚町銀天街の片隅に位置し、アーケードをくぐり細い路地に入ると一気に昭和の世界にタイムスリップ。
老舗のうなぎ屋さん、焼き鳥屋さん等、ローカルを感じる食事が楽しめる場所。

「他にもいい店がたくさんあり、とても書ききれないが、懐かしい雰囲気の食堂が軒を連ねる「鳥町食堂街」や、かつて小料理屋街だったところで、若い人たちが小さな酒場を営業している「新旦過飲食街」などは、なかなか風情があり、歩いてみるだけでもいい。どこへ入ってもボッタくるような店はないから旅の人にも安心である。」

牧野伊三夫『私の、北九州周辺のこと』(2018)

若戸大橋

若戸大橋

北九州市の洞海湾にかかる長さ680mの吊り橋。
アメリカ合衆国のフィラデルフィア市とカムデン市にかかる橋をモデルにして、
1959年起工。
開通当時、東洋一の長さを誇り、日本の長大吊り橋の先駆けと賞された。

「洞海湾に戸畑と若松を結ぶ「若戸大橋」という赤い鉄のつり橋が架かっている。この橋は、1963年に日本の長大橋建設の第一号として架けられ、鉄の街を象徴するものであるが、この橋がつくられる以前からあった渡し船が、いまも運航している。わずか数分の乗船だが、実に味わい深いのでよく人を案内して、一緒に乗船する。若松に到着すると、銭湯へ行き、「丸ちゃん」という老舗のやきとり屋へ行く。私は老舗好きなのである。」

牧野伊三夫『私の、北九州周辺のこと』(2018)

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