うれしのちゃどき
嬉野茶時
〈 佐賀・嬉野 〉
佐賀・嬉野の歴史的伝統文化である嬉野茶・肥前吉田焼・温泉を後世へ守り伝えるため、時代に合わせた新しい切り口でその魅力を表現・発信するプロジェクト。3つの産業が伝わる地域の特徴を活かし、嬉野に根差し様々なジャンルで活躍する人々が参加している。2019年からは、肥前吉田焼や温泉と結び付けたお茶の楽しみ方を「茶空間体験」や「茶輪」「歩茶」など様々なかたちで表現する「ティーツーリズム」を始動。他生産地への展開も進行中。
地域文化とラグジュアリーの結び付きを実現した、全国的にも他に例のない素晴らしい取組みである。次々に進化する取組みは歴史的伝統文化の価値を再構築し、当プロジェクトは嬉野という地域の魅力を生み出す中心となっている。また、他の生産地への展開や生産者の地位向上など、日本の茶文化を守ることにも貢献していると言える。
おくつ ちかし
奥津 爾 氏
〈 長崎・雲仙 〉
長崎・雲仙で自身が運営する直売所を拠点として、在来種野菜の素晴らしさを地元や全国に広め、在来種を守り継ぐ活動を続ける。農家・岩崎政利氏が約40年にわたって在来種野菜の自家採種を続け、守り継いできた豊かな野菜の多様性を地域内外に発信するため、「オーガニック直売所タネト」を運営。生産者と消費者を繋ぐ拠点となっている。2020年からは食とデザインのイベントを開催するなど、多方面で種採り野菜の魅力を発信。インターンシップ受入等、後進の育成にも取り組む。
岩崎氏が長きにわたり守り継いできた野菜の多様性という雲仙の魅力を発信する窓口として地域内外におけるつながり・共働を生み出し、その取組みは生産者の地位向上や野菜の消費拡大、さらには移住者の呼び込みにも繋がっている。タネトを拠点に様々な場所で野菜を楽しめるという環境が生み出され、その広がり自体が観光の目的となっている唯一無二の取組みである。
なかしま ひろたか
中島 大貴 氏
〈 佐賀・塩田 〉
佐賀・嬉野の塩田エリア唯一の酪農家。水田・酪農・堆肥による循環を守り、2021年には、コーヒーの新しい抽出方法であり牛乳の新たな楽しみ方である「MILKBREW COFFEE」というカルチャーのプラットフォームとして、塩田津に築167年の蔵を改装したカフェを開業。
持続可能な循環を確立させつつ、時代に合った最終成果物を生み出すという考えのもと、新たな文化を生み出すとともにプラットフォームを創り上げた実行力は素晴らしく、今後、塩田エリアの文化・情報の発信拠点であり地域の交流拠点となることが期待される。
ばば きょうへい
馬場 匡平 氏
〈 長崎・波佐見 〉
長崎・波佐見の波佐見焼産地問屋として、波佐見焼の認知度向上およびブランディングの取組みを行い、2021年には、異文化に触れる場所をつくるため私設公園「HIROPPA」を波佐見に開設した。地元の子どもたちの遊び場であり、波佐見焼に触れることもできる機会を提供。
自らも楽しみながら地域を巻き込み、私費を投じて未来につながる地域への還元を図る姿勢も評価。地域の住民にとっての情報発信・交流拠点であり、今後は波佐見のまちに溶け込んだ観光資源としての更なる発展を期待したい。
もり かずたか
森 一峻 氏
〈 長崎・東彼杵 〉
長崎・東彼杵で地元住民と移住者を繋げ、移住促進や開業支援を行う。地域の交流拠点・情報発信拠点となる「Sorrisoriso千綿第三瀬戸米倉庫」を運営するとともに、地域の魅力を発信するWebサイト「くじらの髭」を運営。イベント等を通して他地域との連携も積極的に行う。
地域の魅力を発信するとともに「住む」最重要課題である「働く」トライアルの場を創り出し、地元住民と移住者の共働を生み出す。土台のない地域で継続的・自然派生的なまちづくりの中心となっている姿は、日本各地の資産を動かすロールモデルになりうる。
浜野 貴晴 氏
有田焼卸団地協同組合およびクリエイティブディレクター
〈 佐賀・有田 〉
ISAHAYA“頂”プロジェクト
〈 長崎・諫早 〉
NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会
〈 長崎・小値賀 〉
鹿島 酒蔵ツーリズム推進協議会
〈 佐賀・肥前浜 〉
NPO法人黒島観光協会
〈 長崎・黒島 〉
審査員紹介
審査委員長
古宮 洋二
(ふるみや ようじ)
九州旅客鉄道株式会社
代表取締役社長執行役員
審査委員
髙橋 俊宏
(たかはし としひろ)
Discover Japan編集長
審査委員
立川 裕大
(たちかわ ゆうだい)
伝統技術ディレクター
審査委員
永山 祐子
(ながやま ゆうこ)
建築家
審査委員
福田 里香
(ふくだ りか)
菓子研究家
審査委員
宮﨑 香蓮
(みやざき かれん)
俳優
髙橋 俊宏(たかはし としひろ)
Discover Japan編集長
岡山県生まれ。建築やインテリア、デザイン系のムックや書籍など幅広いジャンルの出版を手掛けたのち、2008年に“日本の魅力を再発見”をテーマにした雑誌、Discover Japanを創刊。編集長を務める。
2018年11月に株式会社ディスカバー・ジャパンを設立。雑誌メディアを軸に、イベントや場づくりのプロデュース、デジタル事業や海外展開など積極的に取り組んでいる。
現在、環境省グッドライフアワード実行委員、2021年度長崎市観光マスターブランド検討委員会座長をはじめ、審査員やアドバイザーの実績多数。
立川 裕大(たちかわ ゆうだい)
伝統技術ディレクター
1965年、長崎県生まれ。伝統技術の職人とデザイナーの間を取り持ち、空間に応じたアートオブジェなどを別注で製作するブランドUbushinaを主宰し伝統技術の領域を拡張している。
東京スカイツリー、八芳園、パレスホテル東京、CLASKAなど実績多数。長年に渡って高岡の鋳物メーカー能作のブランディングなども手がける。
2016年、伝統工芸の世界で革新的な試みをする個人団体に贈られる三井ゴールデン匠賞を受賞。
永山 祐子(ながやま ゆうこ)
建築家
1975年東京生まれ。1998年昭和女子大学生活美学科卒業。1998年青木淳建築計画事務所勤務。2002年永山祐子建築設計設立。主な仕事、「LOUIS VUITTON 京都大丸店」「豊島横尾館」「女神の森セントラルガーデン」「ドバイ国際博覧会日本館」など。JIA新人賞(2014)、山梨県建築文化賞、東京建築賞優秀賞(2018)、照明学会照明デザイン賞最優秀賞(2021)、World Architecture Festival Highly Commended(2022)など。現在、東急歌舞伎町タワー(2023)、2025年大阪・関西万博パナソニックパビリオン(2025)、Torch Towerなどの計画が進行中。
福田 里香(ふくだ りか)
菓子研究家
福岡県生まれ。菓子研究家。食にまつわるモノ・コトのディレクションを手掛ける。菓子ブランド「Cheesy poche」(ZAXFOX)、「サブレ・ウィークエンド・シトロン」(福岡・bbb haus)、「mikaned」(鹿児島・GNFF)等。
2009年よりDiscover Japan誌で「民芸お菓子巡礼」を連載中。著書は『季節の果物でジャムを炊く』、『いちじく好きのためのレシピ』、『民芸お菓子』、『新しいサラダ』等。
宮﨑 香蓮(みやざき かれん)
俳優
1993年長崎県島原市生まれ。島原市ふるさとPR大使。
2006年第11回全日本国民的美少女コンテスト演技部門賞受賞後、デビュー。その後数々のドラマや映画、舞台に出演中。近年では長崎県地域発ドラマ「かんざらしに恋して」(NHK)では松尾綾子役として出演すると同時にことば指導も担当した。
2021年、東京2020オリンピック聖火リレーにて島原市内聖火ランナーとして走行するなど、長崎の魅力を県内外に発信している。
2022年3月3日より舞台「マミィ!」に出演。