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今回の「九州駅弁グランプリ」では、何十年も変わらない定番駅弁がある一方で、明太子やローストビーフがどーんと乗ったもの、温める仕掛けが付いたものなど、新しいスタイルの駅弁も増えています。日本の食の多様化につれ、駅弁もまた世の中の流れを映しているのです。
明治から大正時代に楽しい旅の友だった駅弁は、戦時中には兵隊の大切な食料として配給されました。当時、鳥栖駅で積み込まれる弁当の数はなんと1日2万食!近隣の米と人を集めて24時間体制で作っていたという記録が残っています。
やがて食糧難で米不足になると、サツマイモを詰めたイモ弁当が作れたそうです。
そんな食糧難も遠い昔となった令和の時代。再び「卵ショック」がおきました。
鶏卵不足によって食品関連の企業は大打撃を受け、駅弁業者も卵焼きや錦糸卵が作れなくなりそう…という危機に。
鳥栖の「かしわめし」に欠かせない錦糸卵。これがなくては駅弁が作れません。代わるものがないか必死で考え抜いてたどりついたのが「コーン」でした。黄色いコーンは見た目もそっくり(?)かしわと味の相性も良くて“これならイケる!”と一時的に販売に踏み切って話題になりました。今ではすっかり卵の供給も安定し、昔ながらの鳥栖の「かしわめし」が販売されています。
かつては、その土地に行かないと味わえなかった駅弁ですが、今や全国各地の百貨店などで駅弁イベントが開催されて盛況だとか。駅弁の人気の高さが伺えます。
夏休みに家族旅行で食べた駅弁。遠くから出張で来た方が仕事終わりにひと息ついて食べる駅弁。駅弁には、心に残る旅の思い出がつまっているのかもしれません。
(取材協力:中央軒)